アンダーグラウンド (講談社文庫)

感想・レビュー(2334)

先日、サリンとされる化学兵器による攻撃の犠牲となったシリアの子供達のニュース映像が偶然目に飛び込んできた。隣り合って横たわる二人の顔面は蒼白で目は大きく開いたままほとんど動かず、浅い呼吸を繰り返しているように見えた。 それを見て地下鉄サリン事件を思い出した。当時(もちろん今も)被害者の映像は大抵モザイクがかかっていてよくわからなかったけれど、具体的にこういう苦しみ方をしたのだろうと。 それでまたこの本を手に取った。読んだからって何がどうなる訳でもない。でも少なくとも私にとっては無駄ではない。
ナイス ★3 コメント(0) - 4月26日
事件22年刊行20年、中川手記契機にやっと読む。自らが生きている内に麻原を死刑にと望む方は事件時65歳…。信者も目にし当日被害者を病院に運んだテレ東運転手の「幹部はマインドコントロールされていない」という糾弾。日本古来のケガレ概念が被害者差別を生むというPTSD治療医の指摘は原発避難いじめにも繫がる、シリア正男アキバの不審物に本事件思い出し警戒する人など遠い過去でないが被取材者で存命でない方も恐らくいる長い時間。大変な非常時なのに遅刻や電話連絡気にし売店きっちり閉めようとする人々に打たれる
ナイス ★34 コメント(1) - 4月26日
地下鉄サリン事件に遭遇した約60人の被害者に直接インタビューし、被害にあった状況をまとめた本である。罪のない一般市民が偶然サリン事件に会い被害を受けた。著者の力作であり読み進めると、被害者の当時の様子は想像を絶する。皆同じ形式の構成なので、一気読みせず時間をかけて読んだ。被害者は東京近郊に住まいを持った普通の生活を送っていた罪のない一般の人々である。被害者は過度のパニックにならず、お互い助け合って困難を克服した様子が印象に残った。最後にこの事件で、一人の死亡者の家族や奥さんの話を載せたのも痛ましい。
ナイス ★133 コメント(0) - 4月19日
1995年3月20日、その日あなたは何をしていましたか?そう問われ、僕を含め明確に答えられる人は少ないと思います。いつもと同じ日のいつもと同じ朝。決まった電車の決まった車両に乗った人。違う用でたまたま乗った人。バスが遅れ電車が変わった人。向かいのホームの売店で働く人。安全と定刻を厳守する為、努力を惜しまない地下鉄職員。昨日と何ら変わる事のない、何気なく過ぎる今日・・・のはずだった。各々の日常、サリンに襲われた状況、その瞬間の車内の様子、そして症状。被害者によるあまりに壮絶な証言に、胸が締め付けられました。
ナイス ★14 コメント(0) - 4月18日
1995/3/20。秋葉原でJRから地下鉄日比谷線に乗り換えて八丁堀へ、仕事の打ち合わせに行く予定だった。しかし日比谷線は何らかの原因で運行が止まっており、駅には人が溢れていた。打合せの時間がもう少し早ければ、乗っていたかもしれない電車で起こった未曾有の事件に戦慄する。 地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューは、普通に生活していた普通の人達に大きな影響を与えた。でもインタビューを受けた方々は生きている。様々な苦痛を抱えながらでも。亡くなられ直接話を聞く事が出来ない方のご家族の話は、読んでいて本当に辛い。
ナイス ★6 コメント(0) - 4月15日
宗教は「恐い」というイメージがあって、オウムについて(またはサリン事件について)これまで意識的に情報を入れないようにしてきた。だからサリン事件が同時多発だったという事すら知らなかった。意外だったのは毒ガスだ、と人々が叫んでもその場に居た人の大部分は、急いだり慌てることなく地下鉄の出口に向かった、という証言。60人近い人の証言を読んで正直恐くなった。「恐さ」の種類は津波や地震に対してのそれに似ている(人智の及ばない領域だと考えてるからかも)。津波や地震と同じく二度と起こらないで欲しいと願うしかない。
ナイス ★25 コメント(0) - 3月21日
事件当日、何が起こったのか…という視点から、実際に事件に遭遇した人々に村上春樹がインタビューしたことから生まれた本。事件の真相を解明するためには、「起こした側」に着目するだけでなく、「被害に遭った側」にも着目する必要がある…という考え方には納得。 亡くなられた男性のご遺族の語りを読み、涙が止まらなかった。
ナイス ★3 コメント(0) - 3月15日
地下鉄サリン事件のインタビュー集。村上春樹には珍しいドキュメンタリー。一人一人の物語の密度に、読んでいて息苦しくなるけど、それでも最後まで読みきらなければという想いにかられる本でした。
ナイス ★5 コメント(0) - 3月11日
同級生のひとりが別の車両から地下鉄サリン事件を目撃しています。手当てが早かったのか、動く見込みのない電車を乗り継いで無理に学校に行くのが面倒になって早々に駅から逃げたのか、何にせよ彼女は無事だった。上九一色村とポアばかりを連呼する当時の報道の意味がわからず、あれって何だったんだ?という長年の素朴な疑問が氷解した。地下鉄サリン事件の本当の姿、型にはまったテレビの報道の奥にある被害者の生身を垣間見た気がします。善と悪に情報を集約するのは危険。被害者にもそれぞれ人生があるということ。暴力について考えてしまう。
ナイス ★5 コメント(0) - 3月6日
SU
地下鉄サリン事件被害者インタビュー。一人一人に人生が有る。だから、読むのに凄く時間が掛かりました。
ナイス ★6 コメント(0) - 2月24日
地下鉄サリン事件から20年以上経過したいま、改めて読み直してみた。オウム真理教へ世論と視線が集中し「事件」という一括りであった当時、本作で被害者個人を浮かび上がらせた。天災とは全く異なる人災だが理不尽さだけは上回る。人は大望があるとその大義名分をもって殺人を手段とするのか。人は怖い生き物という側面を被害者側からみせている。
ナイス ★15 コメント(0) - 2月15日
ある日突然、理不尽な力によって、あるべき日常が奪われる。事件の被害者としてひとくくりにされてしまうけれど、その一人一人に、濃密な確かな重みのある、かけがえのない日常や生きかたがある。それは語られるべきものだし、その語りはきちんと受け止められなければならない。それらを物語として形に残すということに、この本の存在意義があると思う。
ナイス ★7 コメント(0) - 2月6日
まだ小さい時に起こった事件だから、サリンとオーム真理教いう名前くらいしか知らなかった。日本の歪んだ社会を垣間見れる作品。こんな事件はありえないと思うが、今の方が周りの人との距離も広くなって、ストレス社会になっているだろうから、もっと変な事件が起きてもおかしくない気もする。
ナイス ★7 コメント(0) - 1月29日
オウム真理教の地下鉄サリン事件、被害者インタビュー。 たくさんの被害者の体験談の中で、「こういう事件は起こるだろうと思った。なぜなら自分たちが駅のホームを掃除をしている横で、平気でごみを捨てるひとがいる」という駅員さんの言葉がなぜかとっても重くこころに残りました。
ナイス ★6 コメント(0) - 1月29日
仏訳で。狂気のカルト集団VS善良な一般市民というマニ教的二項対立に落とし込まれて、「被害者」の顔が全く見えなかった地下鉄サリン事件。春樹はそのバランスを取るために、一見徒労とも思われる長い長いインタビューの旅を開始する。ここに収められた証言は必ずしも衝撃的なものばかりではない、それは1995年3月20日にあの場に居合わせた、「善良な一般市民」として顔を剥奪されていた人々を、一人ひとり区別し浮かび上がらせる作業だった。「過去の事件」として葬り去りたくなるものを、満州国から続く日本社会の病巣として追求する。
ナイス ★17 コメント(0) - 1月21日
ものすごく読み応えのある本。村上春樹の現在の作風・価値観に大きな影響を与えたと思われる、インタビュイーの発言の数々。和田嘉子さんの項は何度読んでも泣きそうになる。発生から22年になるが、まだ麻原は生きているんですよね…。
ナイス ★3 コメント(0) - 1月16日
ようやく読み終えた。たくさんの被害者の体験談を重ねることで、当時の混乱ぶりが多方面からうかがい知れた。サリンというのは、ここに描かれているように、衣服どころか犯人たちが犯行に使った傘の先端についた程度の微量でも効果が出るほどの威力に驚いた。もっと沢山の人達がなくなってもおかしくないくらい危険な薬物ということがわかった。血中のコリンエステラーゼが神経系統に重要な役割があって、それがサリンによって激減するということ、呼吸困難、瞳孔が収縮していく症状。あれから20年以上もたったのかと思うと時の流れは随分と早い。
ナイス ★5 コメント(0) - 2016年12月22日
題材である、地下鉄サリン事件は、神経ガス兵器を、組織的に、不特定多数を対象にバラまいたテロ行為として、世界中から注目された事件である。今毎日のように、世界中にテロ行為があふれている。自爆的(殉教的)な色彩のものも含め、世界は1995年3月20日を境に、変わってしまった。筆者が丹念なルポの後で、総括したように、原因や責任には、蓋をされてしまった。再発防止や対策も検証もされていない。いつか発生するその暴力に対し、また同じような不利益を被る方々がないように(あるいは、少なくなるように)祈るばかりである。
ナイス ★3 コメント(0) - 2016年11月24日
熱心な村上春樹読者では全くない私だが、これまで読んだ春樹の本で最も面白かった。前代未聞の事件を起こした地下鉄サリン実行犯たちの表情は脱色された様に曖昧で、たまたまその日その電車に乗り合わせてしまった幾多の被害者の一人一人の方が綿密に描かれる。巧みなモノローグ文に乗って人々の語る職業のディテール、来し方行く末、個人的習慣(御苑駅で降りて牛乳を買う話が印象的)…皆それぞれユニークなその一切が、新聞紙包から漏れ出したあの液体の引き起こす症状に無造作に束ねられる不条理。史上に残すべき記録文学と言ってよい様に思う。
ナイス ★9 コメント(0) - 2016年11月22日
jun
オウム真理教による地下鉄サリン事件のインタビュー集。事件から20年以上経った今読んで見て、「本当にこんな事件が実際に起こったのだろうか」と思ってしまう。確実に事件が風化していっているのだ。事件を起こしたオウム真理教だけでなく、被害を受けた一人一人に人生があり生活があった。マスコミに美化されたものではないものが。このインタビュー集は読んでいて重く辛かった。
ナイス ★26 コメント(0) - 2016年10月30日

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